全方位外交〜バイセクシャルな大人のリアル

表の顔タカシ、自分の将来像を投影したカズマ、10歳から使う偽名のトシカズ、性欲重視の裏顔コースケ、夜の蝶に憧れて性差を超えたカオリ。おそらく全ての欲求が強すぎるのであろう、それらを満たす為に複数の人格を使い分けるように生きてきた私は、全人格の感覚値で好奇心を抱く人に会ってしまった。

浜田山くん#5

浜田山くんは鍵をかけるということを知らない。盗られるものねーしって。掃除すると言う概念もなく、だいたい俺が着くと、誰もいない部屋を掃除する。誰かとやったコンドームとティッシュもある。週2くらいで来てるっぽい。携帯を見るといつも通りプロフに飛びついたバリネコの感激メッセージが多数。

留学前の俺は、ゴリラ系AV男優風ボクサーの持て余す性欲を独占しようと必死だった。中出し3回は普通でなんでも尽くすご奉仕妻だった。でも社会人になるとそんなに暇でもなく、そもそも俺も数人の男と「機能別分散型セックス」を遂行する身で、嫉妬や支配を強要できる立場でないことは自覚していた。

ただ留学先で学んだ「生セックスの怖さ」は、単発的な性病に関わらずボクサー人生にも関わる肝炎とかにもなると必死で説明した。独占欲と脅しが入り混じった感情だった。だから他人の精液には触れちゃダメだよ、口からも変な病気感染るよ、と耳元で囁き、宗教のように洗脳した。

そのうち、浜田山くんの掲示板への投稿はゴムが条件と書かれるようになった。試しに架空アカウント作って会おうとしてみたが、タイプでも生は絶対しないと言い切るので安心していた。「生は俺だけ。チンコで体温感じれるのは俺とだけ。お掃除フェラも俺だけ」そうやって啓蒙していった。